コラム:地区大会と全国大会のコンディションの違い
全国大会に出場して初めて気づく会場コンディションの違いとその影響です。
気温・湿度
開催時期・会場・観客数などで会場の気温が異なるため、温度によって影響を受けやすい機体にとっては悩ましい問題となります。
地区大会については各地区や年度によって会場は異なりますが、1998年東北地区大会が行われた八戸市体育館(青森県八戸市)は収容人数2,000人の体育館でした。1/5程を選手・機体控えエリアとして区切っていました。
観客席は1Fのパイプ椅子席と2Fの常設席で観客数は2,300人。10月中旬でしたが大会が進むと観客の熱気で会場の気温は高くなり、ロボコントレーナーを脱ぎたかった程度に暑かったと記憶しています。
一方11月下旬の全国大会は国技館の広さも相まって気温が低くなります。 当時はスポットライトがそれなりの熱を持っていましたがそれでも建物が大きいこともあり会場の気温は低くなります。
1994年スペースフライヤーの鶴岡高専Speedy Escargotはフリスビーとの摩擦を上げるために松ヤニを使用していましたが摩擦係数が温度によって変化するため、地区大会ではフリスビーがよく飛び(東北大会優勝)、全国大会ではイマイチ(初戦敗退)という極端な結果になりました。
照明の強さ
地区大会と国技館とでは照明設備がまるで異なるため国技館のフィールドはかなり明るいです。
フィールドの明るさはセンサーや視覚に影響を与えます。 つまり、コントラストの低下や反射などによる誤認識や認識不能に陥るという可能性です。
テクノプランターは全国大会仕様では照準用のレーザーポインタの数を増やしていましたが、フィールドが明るすぎてポインタがほぼ見えなかったとのことです。
フィールド施工
領国国技館の中央は土俵です。さすがに土俵むき出しで実施することはありませんが、その上にフィールドを組む以上は床面に直接フィールドを設置した場合と比べて、バウンドの挙動が変わります。
些細なことに見えるかもしれませんが、事前に入念なデータ取りをしてきたチームや相手に関係なく事前に決めた動きを展開するタイプの機体ではこのような想定外の事態に対応が難しい場合があります。
その影響を受けやすいタイプとしては、(1)上から落として転がすタイプの機体(軌道が変わる)、(2)上から落として固定するタイプ(設置ポイントがズレる、高さが変わる)などが挙げられます。
1998年でいえば、豊田高専の生命侵略がこの影響を受けたのではないかと考えられます。 地区大会ではパーフェクトゲームともいえる完璧な種子展開でしたが、全国大会では優勝したものの種子展開は微妙でした。
また1999年Jump to the futureで全国大会出場のDCカクリアンも地区大会では上手くいった橋の変形が全国大会では橋脚部分の設置がフィールドの差によって正常にできなかったのではないかと考えています。
フィールドの仕様変更
全国大会になると地区大会とは違ってテレビ放送向けの演出が強化されます。
1998年度はフィールドの島の淵に電飾で囲むという仕様変更が発生しました。 各島がどちらのチームが獲得しているかをわかりやすくするための変更ですが、色識別センサーを搭載している機体への影響は甚大です。
幸いテクノプランターはこの影響を受けることなく全国大会を戦うことができましたが、一部の機体は影響を受けていたようです。